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スポーツと”血”の関係

スポーツと”血”の関係~アスリートにとって血は重要!~

日々トレーニングや試合で身体を酷使するアスリートにとって血液から健康でいることはとても重要。 質の高い血液があってこそ筋肉に十分に酸素が運搬され、本来の運動機能が発揮されるようになります。

ヘモグロビン濃度と持久力の関係

身体が運動を行うためには、エネルギー源を利用するのに酸素が必要となります。つまり、酸素が十分に筋肉に供給されないと、エネルギーが枯渇して運動が続けられなくなり、特に有酸素性の運動能力(持久力)に影響を及ぼします。酸素はヘモグロビンによって筋肉に運ばれるので、ヘモグロビンの多さは、ことさら持久系の運動においては数値が1違うだけでもタイムに表れるとされるほど重要となります。

スポーツ貧血

  1. 「疲れやすい」
  2. 「すぐに息があがってしまう」
  3. 「いつもと同じプレーができない」
  4. 「頑張ってるけど走れない」

と感じるアスリートは貧血を疑ってみる必要があるかもしれません。 運動が原因で血中の赤血球数、またはヘモグロビン濃度が低下することを「スポーツ貧血」といいます。 ヘモグロビンは身体の活動に不可欠な酸素を運ぶ役割を担い、ヘモグロビンが減少すると十分な酸素が運ばれなくなるので有酸素性運動能力(持久力)が低下します。

アスリートの貧血で多いのは「鉄欠乏性貧血」と「溶血性貧血」です。

「鉄欠乏性貧血」は一般の人にも多い貧血のタイプで、そもそも鉄の摂取量が不足していたり、なんらかの理由で吸収が阻害されていたり、また発汗や排尿(運動後は特に鉄が排出されやすい)、月経などにより鉄が失われ、赤血球の合成に必要な鉄の需給バランスが崩れた状態に起こる貧血です。 とりわけアスリートの場合は大量の発汗とともに鉄が失われていきます。

また、鉄は赤血球中のヘモグロビンに含まれるだけでなく、その他血液中のトランスフェリン、組織中のミオグロビンやフェリチンといったタンパク質と結合しています。筋肉に存在するのがミオグロビンであり、ヘモグロビンが運んできた酸素を受取り、筋肉に貯めておく役割を担っています。つまりアスリートは筋肉量が多いため、それだけ鉄の需要が高く、意識的に摂取しなければ貧血になってしまうのです。

新体操やフィギュアスケートなどの体重を常に意識する審美系競技も食事量のコントロールにより栄養状態が偏り、貧血になるケースも多くみられます。 「溶血性貧血」は身体が衝撃を受けることで血管が押しつぶされ、赤血球が変形・破壊され溶けてしまうことにより発症する貧血です。飛び出たヘモグロビンは尿や汗に混じって体外に排出されてしまいます。マラソンや駅伝などの陸上長距離、サッカー、バスケットボール、バレーボール、剣道、体操など強い踏み込みやジャンプをともなう競技で生じやすいと言われています。

ジュニアアスリートは要注意

成長期を迎えるジュニアアスリートも貧血には要注意です。 筋肉や骨格が成長段階にあり、運動量が飛躍的に増大する時期には鉄の需要も増加し「鉄欠乏性貧血」が発症するリスクが高まります。

  1. 「昨日できたプレーが今日はできない」
  2. 「なんだか調子が悪い」

という現象の原因は貧血にあるかも知れません。

特に注意が必要なのは身長が伸びている時期で、1年間に3~4㎝ほど伸びていた身長が、急に8~10㎝も伸びる時期が訪れます。2か月で1~2㎝伸びている場合は特に注意が必要となり、鉄が多い食材を積極的に摂取するなど配慮が必要です。

また貧血によって生じる「疲れやすい」「息があがる」「集中力が低下する」などの症状はケガを誘発する可能性が高くなり、貧血の症状が出ている時は食事と運動量の調整などのケアが必要です。 ジュニアアスリートにとって競技は将来の進路の選択肢のひとつであり、パフォーマンスの低下やケガの増発によって競技の道を諦めてしまわないよう、育成の現場には貧血の早期発見・早期治療ができる環境づくりが重要となります。

続いては血が”足りない”とは逆に、競技力向上のために血を”増やす”というお話です。

パフォーマンス向上のための造血

現在、マラソン、陸上長距離、競泳、トライアスロン、自転車などの持久系スポーツやサッカー、ラグビー、テニスなどの球技、柔道やラグビーなどの格闘技などに至るまでトップアスリート層において実施されているのが高地トレーニングです。

平地と比べて酸素の薄い環境でトレーニングをおこなうことで、低酸素状態への順応として腎臓内の造血ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)の分泌が促され、その結果赤血球が増加します(ヘマトクリット値の上昇)。

ヘモグロビン濃度の上昇が酸素運搬能力を高め、平地に戻った際のパフォーマンス向上につながります。 高地トレーニングをはじめてすぐにヘモグロビンが増えるわけではなく、平均的に2週間ほどかかり、1か月程度で頭打ちになるとされています。マックスの数値は10%増程度とされており、平地に戻るとヘモグロビン値も2週間程度で戻りますが、パフォーマンスは維持されていることが多いとされています。

また近年は高地へ行かずとも低酸素環境を再現した低酸素室を完備したトレーニング施設も増え、造血によるパフォーマンス向上を目的とした高地トレーニング(低酸素トレーニング)がより身近になりました。

造血にこだわるスポーツ界

持久力(有酸素運動能力)を構成する要素のひとつとして、ヘモグロビンの酸素運搬機能は欠かせないキーワードです。 その機能に固執するあまり、ドーピング問題にまで発展したのが、自転車ロードレースです。

自転車ロードレースは200km前後の道のりを5-6時間かけて走り、勝敗を競う究極のエンデュランス(持久系)競技です。 1999年から2005年にかけて前人未到のツール・ド・フランス7連覇を達成、後にドーピングが発覚し、その全てを剥奪(記録抹消)された選手は、その酸素運搬能力向上のために本来、腎性貧血などを治療するための造血薬であるEPO(エリスロポエチン)製剤を使用することにより、造血を促し血液中に占める赤血球の体積割合であるヘマトクリット値を高め、不正に持久力の向上をはかりました。その時代の自転車界に蔓延したドーピング手法です。

さらにドーピングは巧妙さを増し、検査をくぐり抜けるためにEPO製剤を使用するのではなく、自分自身の血液を保管しておき、レースの前に再度、体内に戻すことにより造血をはかる自己血輸血という手法へと変化していきました。 現在では生体パスポートと呼ばれる仕組みにより自己血輸血ドーピングも検知されるようになりましたが、自転車競技に限らず、「造血」は持久系競技の選手が追い求める永遠のテーマなのです。

<参考文献>

  1. -----(2014)『よくわかる スポーツ貧血』ベースボールマガジン社

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